これから契約社員として働こう、と思っている方も多いと思いますが、
「契約社員はデメリットしかない」
「契約社員はやめとけ」
といったことを聞いて、迷っている方もいるかもしれません。
本記事では契約社員として働く際のメリット・デメリットをまとめ、正社員や派遣社員との差、契約社員の働き方が向いている人を解説しています。
大切なのはそれぞれの雇用形態のメリット・デメリットを理解し、しっかりとキャリアプランを立てた上で働き方を選ぶことです。
ぜひ本記事を参考にしてみてください。
契約社員から正社員を目指す方法を先に知りたい方はこちらからご覧ください。
目次
契約社員とは|働き方について
契約社員とは、会社と有期労働契約を結んで働く労働者のことです。
期間を定めて働くため、契約期間が終わればその職場での仕事を辞めるか、雇用契約を更新して働き続けるかを決めることになります。有期労働契約は原則として最長3年です。
契約社員の働き方としては、正社員と大きな違いはありませんが、残業が無い・少ない働き方ができることが多いため、プライベートの時間を確保しやすいと言えるでしょう。
また雇用契約が終了した後に長く休みを取ることが出来る、といった働き方の自由度の高さもあります。こうした点については、次のメリット・デメリットで詳しく解説します。
契約社員のデメリットとは
契約社員としての働き方を検討している方は、メリット・デメリットを知ってから応募をすると後から失敗した、思っていたのと違った・・・といった気持ちを持ちにくくなります。
まずは契約社員のデメリットから見ていきましょう。
雇用が不安定
契約社員は正社員と比較すると雇用が不安定です。前述したように、有期雇用のため契約が更新されない可能性があります。
また次の契約社員としての仕事を探したとしても、思ったように見つからず、無職の期間が空いてしまう、といったリスクもあります。
契約社員には、契約満了時に再び契約更新ができるとは限らない、といった雇用の不安定さがあります。
さらには企業の業績が悪化した場合などは、正社員よりも先に契約社員が人員整理(リストラ)の対象となりやすい、といったリスクもあります。
こうした点などから、契約社員は雇用が不安定だといえます。
給与・ボーナスが少ない
契約社員の給与やボーナスは、正社員と比較して少ないのが一般的です。また契約社員に対してのボーナスは企業によって支給が無い、業績次第など条件が付くケースもあります。
厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査 雇用形態別にみた賃金」によると、正社員・正職員 336.3 千円に対し、正社員・正職員以外 226.6 千円となっています。
正社員以外という分け方になりますので、アルバイトや派遣なども含まれての賃金にはなりますが、契約社員は正社員よりも低いことが分かるデータと言えるでしょう。
正社員と待遇に差がある
契約社員と正社員との間には社会保険や福利厚生などの待遇に差が生じてしまいます。正社員と差が出てしまうものとしては、例えば以下のようなものがあります。
・社会保険や健康保険の加入
・交通費や住宅手当、家族手当など諸手当
・有給休暇
・ボーナスの有無・支給額
このように契約社員は福利厚生が充実していない傾向があります。正社員に適用される福利厚生の一部しか契約社員には適用されないことが多いため、雇用契約を結ぶ際、どういった福利厚生があるかをあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
昇進が無い
契約社員は有期雇用で働きます。そのため、基本的には会社側としては契約社員を昇進させることは考えていません。
会社の視点では、契約社員は長期目線でキャリア形成をすることができない人材のため、責任ある仕事を任されることもほぼ無いでしょう。そのため経験を積んで昇進することは期待できません。
昇給が難しい
契約社員の昇給タイミングは更新時のみです。契約期間中の昇給は基本的にありません。
とはいえ、契約更新時は仕事を継続できるかどうかの重要な場面です。そこで給与の話を持ち出した場合、更新がされないという恐れもあります。
昇給についてあらかじめ取り決めがあれば、更新時に昇給する可能性が高いですが、その場合であっても契約社員という立場では大きく昇給することは少ないでしょう。
社会的信用が低い
契約社員は雇用が継続される保証がないため、将来的な収入も不安定だと判断される傾向があります。そのため、社会的信用が低くなりがちです。
社会的信用が低いとどういったことが起きやすいかというと、例えば各種ローンの審査に落ちたり、借りられる金額が低い、クレジットカードの審査に落ちる、といたことが生じやすいです。
契約期間中の退職は出来ない
契約社員は雇用契約により就業期間が定められています。そのため、アルバイトのように辞めたい時に気軽に辞める、といったことは基本的にできません。
もし契約期間中に転職活動を行い、良い転職先が見つかったとしても雇用契約の期間が終わるまで入社を待ってもらう、といった対応が必要です。契約期間中にすぐに仕事を辞めて転職をする、といったことは出来ませんので、契約的に転職活動を進めることが必要になります。
キャリア形成が難しい
契約社員として働く場合、契約期間が半年や1年といった比較的短期の場合が多いでしょう。そのため、会社側としては専門的な仕事を任せにくく、スキルや経験を積む機会が限定されがちです。
正社員と比較して、契約社員は成長の機会が少なく、キャリア形成をしていくことが難しいといえます。
年齢が高くなると不利
契約社員として働く場合、年齢が高くなると新たに就業先を見つける場合や、契約更新に不利になってくる傾向があります。特に40代を超えると、不利になると言えるでしょう。
企業としては若く給料が安く伸びしろが多い若手人材を採用したいと考えることも多く、スキルを身に付ける機会が限定的だった契約社員は就業の機会が得にくくなっていきます。
契約社員はずっと働き続けられる保証がなく、雇用が不安定です。だからこそ、将来のキャリアについて考えながら働くことが大切になってきます。
契約社員のメリットとは
契約社員として働く際のメリットもご紹介します。こうした点に大きなメリットを感じる方は、契約社員が向いている人と言えるでしょう。
ワークライフバランスが取りやすい
契約社員として働く大きなメリットは、労働条件を決めて働くことができるため、プライベートを確保した働き方がしやすいことです。
正社員として働く場合、業界・業種によって繁忙期には残業が大きく膨らんだり、休日出勤や不規則な働き方なることもあります。しかし契約社員の場合には、労働時間や休暇について雇用契約で定められていますので、契約内容に基づいて働くことが出来ます。
また契約期間も決まっていますので、ライフプランに合わせた働き方もしやすいでしょう。転職や新たに勉強し直すために学校に入学する、子供の成長に合わせて働き方を変える、といったこともしやすいでしょう。
異動や転勤なしで働ける
契約社員として働く場合、異動や転勤はありません。そのため子供がいて引越しが難しい場合や、親の介護があって住まいを変えるのが難しい、といった方には安心して働ける環境だといえるでしょう。
残業が少ない
契約社員は残業が少ない働き方がしやすいです。契約内容によっては、残業なしで定時に帰宅することも可能です。
もし残業する場合でも、残業代が支払われる会社が多いでしょう。(雇用契約に残業についての記載があるかも確認しておくとよいでしょう)
契約満了で退職しやすい
契約社員は契約期間が定められています。そのため、契約が満了するタイミングで更新しない選択をすれば、退職できます。正社員として働く場合、繁忙期が終わるまで退職を待って欲しい、後任が決まるまで退職を待って欲しいなど、引き留めがあることも多いです。
しかし、契約社員の場合には契約満了のタイミングで退職しやすいことから、その後の計画を立てやすいといったメリットはあります。
正社員よりも採用される可能性がある
契約社員として働いている間に、実績を上げたり、仕事ぶりが認められると、正社員登用の打診をされる可能性があります。
企業によっては契約社員の働きぶりや勤怠の状況を見てから判断できるとミスマッチが減るため、「正社員登用あり、契約社員募集」といった記載の仕方で求人を出しているケースは少なくありません。
そうした記載がなくとも、正社員となって長く働いて欲しい、と企業に考えてもらえた場合には正社員登用の打診がある場合もあります。
最初から正社員登用を期待している場合には、事前に確認する必要はもちろんありますし、必ずしも正社員登用される保証は無い、といったことも理解しておく必要があります。
副業がしやすい
複業解禁の流れにはなっていますが、正社員の場合にはまだまだ副業禁止の企業は多いです。しかし、契約社員の場合には複業が可能であることが多いです。
そのため、収入アップのためやスキルアップのために副業をしやすいといえます。契約社員としての給料は低くても、副業をすることで収入を補うことも可能です。
ただし、企業との雇用契約によっては契約社員も副業禁止とされているケースがあるため、雇用契約書の内容を確認することが大切です。
契約社員の働き方が向いている人
契約社員として働くメリット・デメリットを踏まえた上で、契約社員の働き方が向いているのは次のような人です。
・決まった仕事だけをしたい人
・仕事以外の目的を優先したい人
・様々な職場で経験を積みたい人
・プライベートを重視したい人
実際、契約社員として働きながら満足度が高い方は、目的に沿った働き方が出来ていると感じている場合が多いです。
決まった仕事だけをしたい人
契約社員は業務内容に関して契約で決められているため、そこから大きく逸脱することは基本的にはありません。また全く違う業務内容を指示された場合には、契約内容を確認してもらいつつ、断ることも可能です。
正社員の場合、会社側としては様々な経験を積んでもらいたい、といった思惑もあり業務がどんどん広がりがちです。その結果、残業が増えるといった状況に陥ることも。しかし、契約社員は仕事の範囲が明確なため、決められた仕事を淡々をこなしていきたい、という人には向いていると言えるでしょう。
仕事以外の目的を優先したい人
契約社員は労働条件を企業との間で定めています。そのため、正社員のように残業が長くなったり、休日出勤があったりといったことはありません。定時で帰宅しやすく、労働条件の話し合いによってはシフト制にしたり、週休3日にしたりといったことも可能です。
契約期間も決まっていますから、学業や旅行など仕事以外に優先したい目的がある方は、そのタイミングで契約を満了して退職することが出来ます。
様々な職場で経験を積みたい人
契約社員の場合、契約が満了時に更新をせずに他の仕事を探して挑戦することも可能です。年齢は一つの条件にはなりますが、1つの仕事に限定することなく、様々な職場や仕事で経験を積むことが可能です。
色々と働いて自分に合った働き方を見つけたい、様々な職場で働いて経験を積みたい、と考えている人には契約社員は向いていると言えるでしょう。
プライベートを重視したい人
契約社員の働き方は、正社員よりも柔軟であることが多いです。勤務時間についても正社員よりも短時間にすることも可能です。
例えば、9:00~15:00勤務といったような勤務時間とすれば、子供が学校から帰ってくる前に帰宅することも可能でしょう。また残業も少ない働き方ができるため、プライベートの時間を確保しやすいメリットがあります。
仕事だけの人生は嫌だ、もっと趣味の時間や家族との時間も持ちたい、プライベートを大切にしたい、といった価値観を持つ方には契約社員の働き方が合っていると言えそうです。
契約社員の働き方が向いていない人
逆に契約社員に向いていない人は次のような人です。
・安定して働きたい
・将来的にキャリアアップしたい
・会社の中で昇進したい
・なんとなく正社員より責任が少なくて楽そう
・ローンを借りる予定がある
契約社員で働く場合、契約更新のタイミングが必ず来ます。その際、仕事ぶりが良くなかったり、職場の雰囲気を乱すような言動があったりすると、更新されない可能性が高くなります。
職歴として短期間で契約社員の職場が増えてくると、新たに仕事探しをする際に、採用担当者も疑問に思うことが増えてくるでしょう。正社員よりも採用のハードルが低いと言われる契約社員ですが、年齢も重要です。
長続きしない経歴、年齢も30代後半、40代となってくると契約社員でもあっても仕事が見つからない可能性が高くなってきます。そのため、キャリアプランを考えながら働くことは大切になってきます。
契約社員として働く際の注意点
契約社員として働く際、以下の注意点は押さえておくべきだと言えるでしょう。後から困ったことにならないように、事前に以下について確認しておいたり、考えておくことが大切です。
今後のキャリアプランを考える
契約期間が終わった後、どうするかといったキャリアプランを考えておくことはとても大切です。無期雇用転換も希望すれば可能ですが、その場合も正社員よりも待遇が劣ることが多く、現状ではあまりお勧めできません。
契約社員の期間満了後、
・正社員を目指して転職活動をする
・引き続き契約社員の仕事を探す
・学校に入り直して新しいスキルを身に付ける
・留学したい
など考えておくことが大切です。なんとなく契約社員を続けていて、気づいたら年齢が高くなり更新されずに職を失う。その後も仕事が見つからずに無職が続き生活に困窮する・・・といった末路は避けたいものです。
今後のキャリアプランを考える上では、
・引き続き、契約社員で経験してきた仕事内容を活かした働き方をしたいかどうか
・契約社員で働いている時の給料が足りない場合、どれくらい必要なのか
・将来どんな生活を送りたいか
・ライフプラン(結婚、子育て)について
・プライベートと仕事の比率
なども大切になってきます。とはいえ、全てを満たせる働き方は実際のところ難しいので、優先順位を付けながら考えていくことになります。
契約更新の保証がないことに注意
注意しなければならないのは、契約社員は必ず契約更新ができる訳ではない、ということです。労働者としは契約更新ができる、と思っていたところに企業から契約満了で更新無しの通知が来る、といったことは珍しくありません。
その場合、慌てて次の仕事を探す必要があります。もし仕事探しが間に合わなければ、無職の空白期間、無収入の期間もできてしまうでしょう。
契約社員の働き方において、そうしたリスクがあることはしっかりと理解しておく必要があります。
正社員登用制度があるか確認する
将来的に正社員を目指したい場合、契約社員から正社員登用があるかを事前に確認しておくことも大切です。正社員登用制度がある場合、実際に制度が活用されて契約社員から正社員になった人がいるかも確認しておきましょう。
正社員登用制度はあっても、実績が無いケースもあります。その場合、期待して働いていても結局は正社員になれず、時間だけが過ぎただけ・・・といった結末になる可能性があります。
例えば、30代後半や40代の非正規社員が正社員を目指すのはとても大変です。いずれは正社員になりたい、といった場合には早めに正社員となれるように行動をしていくことが大切です。
契約社員から正社員を目指す方法
将来的な雇用の安定を考えて、契約社員から正社員にステップアップしたい、と考えた場合には以下の方法で正社員を目指すことが可能です。
・正社員登用制度を利用する
・転職活動で正社員になる
正社員登用制度を利用する
契約社員として働く会社に正社員登用制度がある場合、利用して正社員になることを目指す方法がおすすめです。契約更新の時期に会社に交渉をしてみると良いでしょう。
もちろんそれまでの働きぶり、仕事の成果なども考慮の対象になるため、話が進展しなかったり、断られるケースもあります。また正社員登用制度はあるけれども、実績が無い、実際には稼働していないケースもあります。
正社員登用の試験も企業によって様々です。まずは基準をクリアしているかを確認してみましょう。業界によってはパート・アルバイトから正社員に登用される人も少なくありません。
正社員登用試験も企業によって様々です。受験が可能であれば、試験に向けてどういった準備が必要かなども教えてもらえるでしょう。
転職活動で正社員になる
契約社員として働く企業に正社員登用制度が無い場合や、いつ正社員になれるか分からない、この会社では正社員になりたくない、といった場合には転職活動をして正社員を目指す方法が良いでしょう。
転職活動であれば、正社員での採用を目指すことが可能です。働きながら転職活動をする場合、平均して1ヶ月~3ヶ月程度の転職活動期間がかかることを想定してスケジュールを組み立てることが大切です。
契約満了の時期も視野に入れて、転職活動をスタートする時期を決めましょう。転職活動をする際、自信が無い方や自分で求人を探す時間が取れない、といった方は転職エージェントを活用すると良いでしょう。
正社員就職や転職を目指す場合、20代の方であれば以下をおすすめします。いずれも若手人材の就職・転職支援に特化しており、実績も豊富なエージェントです。
30代前半の方は、DYM就職、就職カレッジを活用することが可能です。まずは相談から、情報収集から、といった利用方法で問題ないので気軽に連絡してみてはいかがでしょうか。
まとめ
契約社員として働く際のデメリットメリット・デメリットを中心に解説しました。契約社員として働くことが今はベスト、といった方もいらっしゃると思います。ご自身が家計の大黒柱になるかどうか、といった点も雇用形態を選ぶポイントにもなってくると思います。
しかし、将来的に安定した収入を得たい、収入アップをしていきたいと考えた時、契約社員はやはり不安ですし不安定です。社会的信用も低いので不便なことも出てくるでしょう。
年齢も重要です。契約社員として40代、50代でも更新が出来ている方や、新たな職場が見つかる方は専門性の高いスキルを持っているか、低い給料で働くかなど二極化する傾向があります。年齢が高くなってくると、契約社員に限らずアルバイトや派遣の仕事も見つかりにくくなってきます。
将来のキャリアプランを考えながら、契約社員などの働き方を考えていくことが大切だと言えるでしょう。