リライトの優先順位はどう決める?CVへの貢献から改善する記事を選ぶ方法

リライトの優先順位はどう決める?

オウンドメディアの記事が増えてくると、リライトする記事をどこから選べばよいか迷うことがあると思います。

「PVが多い記事から直すべき?」
「順位が落ちた記事を優先すればいい?」
「更新日が古い記事から順番に手を入れるのが正解?」

といった迷いのある担当者の方も多いのではないでしょうか。

リライトの優先順位は、まずCVへの貢献と改善できる点を確かめ、使える時間に合わせて対象を絞ると決めやすくなります。本記事では、候補記事の比較表を作り、今月直す記事と見送る記事を選ぶまでの手順を解説します。

ここでいうCV(コンバージョン)は、問い合わせ完了など、サイトの目的として定めた行動を指します。サービスページへの移動は、その手前の行動として区別します。

CVが少ない記事や計測できていない記事の扱い、工数が足りないときの絞り方、6記事を使った比較例などもお伝えできたらと思います。

もちろん、ここで紹介する考え方は一例です。会社の方針やサイトの状況に応じて、判断基準や進め方を調整するつもりで読んでいただけたらと思います。

目次

リライトの優先順位は、CVへの貢献と改善余地から考える

順位が落ちた記事、PVが多い記事、古い記事。どれも直したくなるものです。

ただ、問い合わせ獲得を目指すサイトであれば、まずCVに関わる可能性を見ながら、改善すべき問題がある記事を選ぶのが現実的だと思います。数字の大きさだけで並べると、直しても成果につながりにくい記事に時間を使ってしまうことがあるためです。

逆に、CVの多い記事でも、好調で問題が見当たらないなら全面的な書き直しを急ぐ必要はありません。

ここで紹介する順序は、問い合わせ獲得を目指すサイトでの実務例です。会社として認知の拡大や既存顧客の支援を重視している記事は、その役割を確認したうえで評価してください。直接のCVが少ないことだけを理由に、一律で対象から外すのは少々乱暴です。

CV実績・サービスページへの送客・事業との関連を分けて見る

CVへの貢献を確かめるといっても、見る材料は1つではありません。

まず、記事ごとに役割があります。例えば、テーマを知ってもらう認知の記事、サービスを比べている人に向けた比較検討の記事、申し込み前の確認に使われる記事などです。役割によって、CVとの距離は変わります。

そのうえで、次の3つを分けて考えます。

  • CV実績:記事を読んだ流れで、問い合わせ完了などのCVが観測された件数
  • サービスページへの送客:記事からサービス紹介ページへ移動した動き
  • 事業との関連:記事のテーマと、提供しているサービスとの近さ

CV実績がある記事は、貢献している可能性が高い記事といえます。ただし、その件数がすべて記事だけの効果とは言い切れません。もともと検討が進んでいた読者が、たまたまその記事から入ってきた可能性もあるからです。

送客は、CVの手前の行動を見るための参考指標です。問い合わせ完了とは別の行動なので、CVの件数と足し算しないようにしておきましょう。

事業との関連は、数字ではなく記事の内容から判断する材料です。CVや送客がまだ少ない記事でも、サービス選びに直結するテーマであれば、候補に残す理由になります。

また、認知や比較検討の記事を、申し込み直前の記事と同じ「直接CVの件数」だけで比べると、低く評価しすぎてしまいます。記事ごとの役割を確認してから比べることが大切です。

誤情報の修正と急落の原因調査は、通常の選定と分ける

CVへの貢献を比べる前に、先に対応しておきたい記事が2種類あります。

1つ目は、読者の判断を誤らせる情報です。例えば、料金、提供条件、申し込み期限などが古いまま残っている記事です。こうした記事は、CVの多い少ないを比べるのを待たずに、該当箇所を直します。申し込み条件が古い記事であれば、CVが少なくても修正の対象です。ただし、直すのは必要な箇所に絞り、全面的な書き直しとは分けて考えます。

2つ目は、流入や順位の急落です。急落した記事は、すぐにリライトせず、まず原因を調べましょう。

Googleは、検索流入が減る主な原因として、検索システムのアップデート、技術的な問題、セキュリティの問題、スパムの問題、季節性や関心の変化、サイトの移転などを挙げています。また、小幅な順位下落については、順位の小さな変動はいつでも起こり得ると説明し、すでに検索で好調なページへの大幅な変更を避けるよう勧めています。(参照:Debugging drops in Google Search traffic|Google Search Central)https://developers.google.com/search/docs/monitor-debug/debugging-search-traffic-drops

このほか、計測の設定変更や、検索結果・競合の変化で数字が動くこともあります。こうした原因を一つずつ確認し、本文に直すべき点が見つかった場合に、リライトの候補に加えます。サイト全体の技術的な問題を、記事の書き直しで解決しようとしないようにしましょう。

なお、緊急修正を通常の選定と分けて考えることと、ここで紹介した判断の流れは、本記事での実務上の提案です。Googleが公式に示している優先順位ではない点は、ご了承ください。

判断の流れを図1にまとめました。

誤情報は必要箇所を緊急修正し、流入や順位の急落は原因を調査する。
図1 リライト対象を選ぶ前に、緊急修正と原因調査を切り分けます。

まずは手元の候補を「緊急修正」「原因調査」「通常の選定」の3つに分けてみてください。

候補記事を比べるための情報をそろえる

比べようとしても、記事ごとに見ている数字がばらばらだと、判断しにくいものです。

候補記事を比べるときは、記事の役割を確認し、計測の条件をそろえ、分かっている事実、立てた仮説、まだ計測できていない項目を区別して記録します。全記事を精密に採点する必要はありません。

候補の拾い方も、決めすぎなくて大丈夫です。緊急修正と急落の原因調査を通常の選定と分けたうえで、CVや送客の実績がある記事、サービスとの関連が強く具体的な不足が見えている記事から拾っていきます。データがほとんどない場合は、サービス選びに直結するテーマの記事を仮の候補にし、「関連性からの推定」であることを書き添えておけば十分です。

この段階では、分かる事実と未確認の項目までを書き込みます。改善仮説、工数、最終的な判断は、次の章で仕上げます。

目的のCVと集計条件を決める

最初に、比べる基準となるCVを1つ決めます。例えば、問い合わせ完了や資料請求などです。

次に、集計の条件をそろえます。

  • 集計期間:どの期間の数字を比べるか
  • 対象の流入:全流入か、検索からの流入だけか
  • 記事とのひも付け方:どの条件で「その記事のCV」とみなすか

とくに見落としやすいのが、3つ目のひも付け方です。「記事経由のCV」という言葉は便利ですが、定義があいまいなまま使われがちです。例えば、記事を入口にしたセッションで発生したCVなのか、記事を読んだあとに発生したCVなのか、同じセッション内のCVなのか。条件が違う数値を横に並べて比べると、正しく判断できなくなります。

セッションとは、GA4(Googleのアクセス解析ツール)で使われる単位で、ユーザーがサイトを操作している一連の期間を指します。(参照:[GA4] About Analytics sessions|Google アナリティクス ヘルプ)https://support.google.com/analytics/answer/9191807

GA4で集計する場合は、問い合わせ完了を捉えるイベントと、キーイベントの設定を確認しておきましょう。キーイベントは、ビジネスの成果にとくに大切な行動を計測するイベントとして指定するものです。GA4で計測されたすべてのイベントが、問い合わせの実績になるわけではありません。(参照:[GA4] About key events|Google アナリティクス ヘルプ)https://support.google.com/analytics/answer/9267568

また、キーイベントの数え方には、発生するたびに数える方法と、1つのセッションで1回だけ数える方法があります。そのため、キーイベントの件数と「問い合わせ完了があったセッションの数」は、一致しない場合があります。どちらの数え方で記録しているかを、表に書いておくと安心です。(参照:[GA4] Change the counting method of key events|Google アナリティクス ヘルプ)https://support.google.com/analytics/answer/13366706

件数だけでなく、問い合わせの内容が自社のサービスに合っていたかなど、確認できる質の情報があれば補足として残しておくと判断しやすくなります。

記事の役割ごとにどの指標で評価するかは、オウンドメディアのKPIの選び方で解説しています。

検索・送客・内容・工数を一つの比較表にする

条件が決まったら、候補記事を1つの表にまとめます。この表では、CVの欄に、その記事を入口としたセッションのうち目的のCVが1回以上発生したセッションの数を使います。キーイベントの件数を使う場合は、列名と集計条件もその数え方に合わせてください。

表1 候補記事の比較表にそろえる項目

項目記入ルール
記事URL・役割URL、テーマ、認知・比較検討などの役割
CV発生セッション数(記事が入口)実績と集計条件。未計測・計測未確認は0にしない
送客発生セッション数(記事が入口)対象サービスページへの移動。定義が合う数値だけを使う
検索クリック等の変化必要な補助指標と条件
情報の不備本文で確認できる問題。未確認は「要確認」とする
改善仮説誰のどんな判断を助け、どの行動の改善を狙うか
作業範囲・見込み工数調査からレビュー、入稿、初期点検までを含める
判断と理由・見直し日選定・調査・保留、その理由、次の確認内容と見直す日

表1の項目を使い、確認できる情報から候補記事を整理します。

数字の出どころは、項目ごとに分かれます。

  • 検索結果での表示回数、クリック数、CTR(検索結果で表示された回数に対するクリック数の割合)、平均掲載順位:Search Console(Google検索での表示やクリックを確認できるGoogleのツール)
  • サイト内での行動:GA4などのアクセス解析ツール
  • 問い合わせの質:CRMなど、問い合わせを管理しているツール

平均掲載順位は、対象ページへのリンクが検索結果に表示されたときの最上位の位置を平均した指標です。検索した人の検索履歴や場所、端末などによって位置は変わるため、自分で一度検索したときの順位とは一致しないことがあります。固定の順位として扱わないようにしましょう。(参照:What are impressions, position, and clicks?|Google Search Console ヘルプ)https://support.google.com/webmasters/answer/7042828

送客の数字は、とくに慎重に扱いたい項目です。GA4の拡張計測機能にある外部リンクのクリック(click)は、現在のドメインから別のサイトへ移動するリンクが対象です。そのため、同じドメイン内にあるサービスページへの移動は、この数字をそのまま使えません。(参照:[GA4] Enhanced measurement events|Google アナリティクス ヘルプ)https://support.google.com/analytics/answer/9216061

同じドメイン内の送客を記録するときは、既存のイベントやページ遷移のデータが、表で使う定義に合っているかを確認してから書き込みます。確認できた数値だけを記入しておけば十分です。

CTRや遷移率など、率を使う場合は分母を決め、母数もあわせて書いておきます。率だけを並べると、母数の小さい記事が大きく見えてしまうことがあるためです。

CVが少ない・計測できない記事をゼロ評価しない

表を埋めていくと、CVの欄が空いてしまう記事も出てきます。

まず分けておきたいのが、「計測していない」と「計測したうえで0件」です。計測していない記事に「0件」と書くと、あとから見たときに、成果がなかった記事と区別できなくなります。計測していない場合は「未計測」、計測できているか分からない場合は「要確認」と書いておきましょう。

計測上0件だった記事も、すぐに低い評価を付ける必要はありません。次の点を確認します。

  • 件数が少なすぎて、比較できる状態にないのではないか
  • サービスの検討期間が長く、記事を読んだ日には問い合わせまで進まない読者が多くないか
  • そもそも直接のCVを狙う役割の記事か

そのうえで、送客の動きやテーマとサービスの関連を、仮の判断材料として使います。例えば、問い合わせは0件でも、サービスページへの移動があり、読者の疑問に答えきれていない箇所がある記事は、改善候補になり得ます。ただし、サービスとの関連が強いからといって、直せば将来CVが必ず増えるとは限りません。

判断は、次の3つのどれかを選ぶ形にすると進めやすくなります。

  • 計測確認:まず計測できる状態にする
  • 限定的な改善:問題がはっきりしている箇所だけを直して様子を見る
  • 観察:今は手を入れず、数字の動きを見る

測れない記事も、そのままにしておかないことが大切です。次に何を確認するか、いつ見直すかを表に書いておきましょう。

記事の数字と最終的な成果の関係を整理したい場合は、成果と指標のつながりを整理するKPIツリーも参考にしてみてください。

まずは候補の行を埋め、分からない欄は「未計測」「要確認」と書くところから始めてみてください。

リライトする記事を選ぶ3ステップ

材料がそろっても、最後にどれを選ぶかは、迷うところです。

比較表がそろったら、「貢献」「改善仮説」「実行範囲」の順に候補を絞ります。点数を付けて自動的に順位を出す方法もありますが、例えば「CV×下落率÷工数」のような計算式は、記事の役割や改善の根拠を反映しきれないため、ここでは使いません。

また、上司の承認や取材など、ほかの人の作業を待つ必要がある場合は、着手の順序が変わることもあります。ただ、工数が軽いことだけを理由に順番を決めないようにしておきましょう。

リライトの判断に使う3つの視点。
図2 CVへの貢献を軸に改善の余地を確かめ、見込み工数と制約から実行範囲を絞ります。

CVへの貢献を守る記事と伸ばす記事を絞る

1つ目のステップでは、CVへの貢献という観点から候補を2つに分けます。

  • 守る候補:CVの実績があり、その貢献が失われつつある根拠がある記事
  • 伸ばす候補:既存の送客やテーマの関連から、貢献を伸ばせる見込みがある記事

「守る候補」は、貢献が下がっている根拠がある場合の分類です。検索クリックが減っているだけでは、CVへの貢献が減ったとまでは言えません。

候補同士は、根拠がどれだけはっきりしているか、どこまで影響するかで比べます。例えば、CVが多い記事でも、問題が見当たらなければ急いで直す必要はあまりありません。反対に、CVは少なくても、送客がありサービスとの関連が強い記事は、伸ばす候補として残す価値があります。既存のCVが多い順に着手する、という決め方は避けたほうがよいでしょう。

直接CVのない認知の記事も、記事の役割と、送客などの間接的な動きも見たうえで判断します。

改善仮説を立て、リライトで対応する範囲を決める

2つ目のステップでは、候補ごとに改善仮説を立てます。仮説は、次の形の一文にしておくと判断しやすくなります。

「何が問題で、誰のどんな判断を助け、どの行動の改善を狙うか」

例えば、次のような形です。

「比較記事の条件説明が古く、サービスを検討している人が判断できない。条件と事例を更新し、適切なサービスページへの移動と問い合わせを確認する」

仮説は、数字だけを見て立てるのではなく、実際に本文を読んで立てます。古い情報、検索意図とのずれ、説明の不足、読者の疑問と記事内の導線が合っていない、などが典型的な問題です。

本文を読んでも問題が見つからず、検索需要の減少、サイトの技術的な問題、計測の不備などが原因として考えられる場合は、リライトとは別の対応になります。

同じ読者の問いに答える記事が複数ある場合は、個別に書き直す前に、記事の役割を整理したり、統合が必要かどうかを確認したりします。ただし、内容が重なっていることだけで順位が下がった原因とは断定できません。

仮説ができたら、対応の範囲を決めます。該当箇所の小さな修正で足りるのか、構成から組み直す必要があるのか、取材や資料の確認が必要なのかを分けておくと、次のステップで工数を見積もりやすくなります。

工数と制約を見て、今月直す記事を決める

3つ目のステップでは、今月使える時間の中で直せるように、対象を決めます。

工数は、本文を書く時間だけでは見積もれません。調査、執筆、レビュー、図表の作成、入稿、変更後の点検までを含めて見積もります。そのうえで、承認待ちや取材の日程など、自分だけでは進められない作業があるかを確認し、今月使える時間へ割り当てます。

迷ったときは、次のように考えると決めやすくなります。

  • 貢献と仮説の根拠が同じくらいなら、小さく試せる記事を先にする
  • 工数が軽くても、サービスとの関連が弱い記事は優先しない
  • 大きな書き直しが必要な記事は、「原因の確認」「取材の準備」など、次の作業に切り分けて今月の枠に入れる

今月の対象から外した記事も、理由と再検討の条件を比較表に残しておきましょう。会社の方針や承認待ちといった制約も、表に書いておくと、あとから判断の経緯を説明しやすくなります。

候補ごとに仮説と工数を埋め、「選定」「調査」「保留」のどれにするかを決めてみてください。

比較例|6記事から今月の改善対象を選ぶ

CVを重視したくても、使える時間は限られているものです。

ここでは、6つの記事を例に、比較表から今月の対象を選ぶ流れを紹介します。この例では、誤情報のあるAを緊急修正し、既存のCV実績があり改善仮説を立てられるB、送客が確認できるCを選びます。好調なEは観察、サービスとの関連が弱いDは見送り、計測が確認できていないFは確認から始めます。

同じ条件で6記事を比較する

例の前提は次のとおりです。すべて説明用の架空データで、実際の案件や業界の標準、成果の予測ではありません。

  • サイトの目的:BtoBサービスへの問い合わせ完了
  • 対象:公開から90日以上たった6記事
  • 比較期間:6記事とも同じ直近90日
  • 使える時間:月10時間
  • CV・送客の集計対象:全流入

90日や10時間は、例を説明するために置いた条件です。推奨する期間や時間ではありません。

表の2つの数字は、次のように定義しています。

  • CV発生セッション数(記事が入口):その記事を入口とし、同じセッション内で問い合わせ完了が1回以上あったセッションの数
  • 送客発生セッション数(記事が入口):その記事を入口としたセッションで、その記事から対象のサービスページへの移動が1回以上あったセッションの数

入口とは、GA4でいうランディングページのことで、セッションの最初に表示されたページを指します。(参照:[GA4] Landing page report|Google アナリティクス ヘルプ)https://support.google.com/analytics/answer/12931766

同じセッションで問い合わせを何度完了しても、1セッションは1件として数えます。そのため、通常のキーイベントの件数とは異なる場合があります。また、記事を読んだ後、別のページを入口にしたセッションで問い合わせた場合は、その記事の件数には含めません。集計期間内の後日の再訪でも、同じ記事が入口で、そのセッション内に問い合わせ完了があれば集計対象です。この数字は、記事の貢献のすべてを表すものではない点は、ご了承ください。

CVと送客は同じセッションで重なることがあるため、2つを合計していません。この2列からCVR(CVの割合)も計算していません。また、検索クリックはGoogle検索からの流入に限った別の補助指標なので、CVの欄とは集計の対象が一致しないことがあります。

表2 同じ直近90日で比較した6記事の仮例(観測情報)

記事URL・役割CV発生セッション数(記事が入口)送客発生セッション数(記事が入口)検索クリック等の変化情報の不備
A 申込条件の解説(申し込み前の確認)212設定なし申込条件が旧版
B 外注先の選び方(比較検討)660検索クリックが低下料金・申込条件の誤りはない。現在の比較検討に必要な説明が不足
C 費用の考え方(比較検討)034設定なし費用条件の説明が不足
D 周辺用語集(認知)03流入は多い要確認(具体的な不備は仮例で設定していない)
E 導入比較(比較検討)870流入・導線が安定重要な不備はない
F 詳細比較(比較検討)計測未確認計測未確認設定なし要確認(取材・資料の確認が必要)

表2 同じ直近90日で比較した6記事の仮例(判断情報)

記事改善仮説作業範囲・見込み工数判断と理由・見直し日
A 申込条件の解説申し込みを検討する読者が、古い条件で判断しないようにする申込条件の該当箇所の修正/1時間選定(緊急修正)。誤情報の影響を優先。条件が変わったときと次に候補を見直すときに確認
B 外注先の選び方外注先を比べている読者に必要な説明を補い、サービスページへの移動と問い合わせの改善を狙う需要・技術面の確認、比較検討に必要な説明の補強/4時間選定。CV実績があり仮説を立てられる。次に候補を見直すときに、検索クリック・送客・CVを同じ条件で確認
C 費用の考え方費用を確かめたい読者に条件の説明を補い、送客が問い合わせにつながるかを確かめる費用条件の説明に絞った限定的な改善/3時間選定(限定的な改善)。送客がありサービスとの関連が強い。次に候補を見直すときに問い合わせの有無を確認
D 周辺用語集設定なし1時間保留(見送り)。サービスとの関連が弱く、読者の目的が記事内で完結。役割・関連性・具体的な課題が変わったら再検討
E 導入比較設定なし全面改稿する場合は5時間(今月は配分しない)保留(維持・観察)。流入・導線が安定し重要な不備がない。不備や変化が確認されたら再検討
F 詳細比較計測と資料の確認後に立てる全面改稿する場合は20時間(今月は計測・資料の確認のみ)調査。計測確認後に再検討し、次月以降の候補へ戻す

※記事URLは仮例のため省略しています。「設定なし」は、この仮例で情報を設定していない項目です。見直し日は、読者ご自身の表では具体的な日付を決めて記入してください。

選んだ記事と見送った記事の理由を残す

表2をもとに、それぞれの判断理由を説明します。

A 申込条件の解説(選定・緊急修正)

申込条件が旧版のままで、読者の判断を誤らせるおそれがあります。CVは2件と少ないものの、誤情報の影響を優先して、1時間で該当箇所を直します。

B 外注先の選び方(選定)

料金や申込条件に誤りはありませんが、いま比較検討している読者が判断するための説明が足りていません。検索クリックの低下については、需要の変化や技術的な問題がないかもあわせて確認したうえで、説明不足の改善を仮説として4時間を配分します。

CVの実績は確認できますが、説明不足がクリックの減少やCVの減少を起こしたとまでは断定できません。そのため、「失ったCVを取り戻す」というより、比較検討に必要な説明を補って、その後の動きを確かめるリライトになります。

C 費用の考え方(選定・限定的な改善)

CVは計測上0件ですが、送客は34件あります。費用条件の説明が不足しており、提供しているサービスとの関連も強いため、3時間の限定的な改善を選びます。送客をCVとして数えるわけではなく、改善後に問い合わせにつながるかを確かめる小さな検証です。

D 周辺用語集(見送り)

流入は多いものの、サービスとの関連が弱く、読者の目的は記事の中で完結しています。見込み工数は1時間ですが、今月は見送ります。正確性の確認を放置してよいという意味ではないので、役割や関連性、具体的な課題が変わったときに再検討します。

DよりCを選んだのは、工数の軽さよりも、CVへの貢献につながる根拠を優先したためです。Dは送客が3件でサービスとの関連も弱い一方、Cは送客が34件あり、費用条件の不足という具体的な改善点が見えています。

E 導入比較(維持・観察)

CV発生セッション数が8件、送客発生セッション数が70件と、計測値がある5記事の中で、どちらももっとも多い記事です。ただ、流入も導線も安定していて、重要な不備も見当たりません。全面改稿の必要性が見えていないため、今回は維持・観察とします。5時間は全面改稿する場合の見積もりで、今月配分する時間ではありません。不備や変化が確認されたら再検討します。

F 詳細比較(調査)

サービスとの関連は強いものの、CVと送客の計測が確認できておらず、改稿には取材や資料の確認も必要です。20時間の全面改稿には今月着手せず、まず計測と必要な資料を確認します。確認が済んだら、次月以降の候補へ戻します。

この判断をもとに、月10時間を次のように配分します。

表3 月10時間を仮定した作業配分の例

作業配分
Aの緊急修正1時間
Bの説明不足の改善4時間
Cの限定的改善3時間
Fの計測・必要資料の確認と全体の追加点検2時間
合計10時間

A・B・Cで8時間、残りの2時間は追加の確認枠です。Fの確認だけに2時間すべてを使うという意味ではありません。各記事の工数には、調査、修正、レビュー、入稿、初期点検を含めています。

今回選んだのは3本ですが、これはこの例での結果です。毎月の目標本数として決めるものではありません。

ご自分の比較表でも、選んだ記事だけでなく、見送った記事と調べる記事の理由を一行ずつ残しておいてください。

選定後は、変更内容と成果を記録して見直す

記事を直し終えたら、すぐ次の記事に取りかかりたいところです。

ただ、何をどう変えたかを残しておかないと、次に候補を見直すときに、その記事を選んでよかったのかを確かめることができません。変更前の状態と仮説を保存し、まず表示・計測・導線が正しく動いているかを確かめます。そのあとで、途中の行動とCVの変化を確認します。

着手前に改善仮説・変更箇所・確認指標を残す

リライトに着手する前に、次のものを残しておきましょう。

  • 元原稿:変更前の状態に戻せるように保存する
  • 対象読者と改善仮説:比較表に書いた一文
  • 変更箇所と実施日:どこをいつ変えたか
  • 確認する指標:CV、送客、検索クリックなど
  • 見直す日と再検討の条件

見直すまでの期間は、全記事で同じにする必要はありません。流入の多い記事と少ない記事、サービスの検討期間の長さ、変更した範囲の大きさによって、比べられるデータがたまるまでの時間は変わります。記事ごとに決めておきましょう。

選んだ記事をAIで直す場合は、選んだ記事をAIでリライトする手順で、具体的な作業の進め方を解説しています。

CVと途中の行動を見て、次の改善対象を選び直す

公開した直後は、成果よりも先に、表示の崩れ、リンク切れ、計測の不備がないかを確認します。

比べられるだけのデータがたまったら、変更前と同じ定義で、集計期間の長さをそろえて数字を確認します。そのとき、季節性、ほかの施策、サイト全体の変化なども一緒に記録しておくと、あとで振り返りやすくなります。

検索流入が変わる原因は、記事の内容以外にもあります。(参照:Debugging drops in Google Search traffic|Google Search Central)https://developers.google.com/search/docs/monitor-debug/debugging-search-traffic-drops

CVが増えても減っても、リライトだけの効果とは断定しないようにしましょう。

送客などの途中の行動だけが増えて、CVが増えないこともあります。その場合は、読者の層が想定と合っているか、移動先のページに問題はないか、計測は正しいか、検討期間の長いサービスではないか、などを確認します。

効果がはっきりしないときも、すぐに書き直しを繰り返す必要はありません。観察を続けるか、仮説を見直すかを判断します。

次に候補を見直すときは、その記事を選んでよかったか、工数の見積もりが合っていたかも比較表に書き足してみてください。

まとめ

リライトの優先順位は、PVや順位、更新日の古さだけで決めるより、CVへの貢献と改善できる点を確かめ、使える時間に合わせて絞ると判断しやすくなります。

  • 誤情報の修正と急落の原因調査は、通常の選定と分ける
  • CV実績、送客、事業との関連を分けて見て、未計測を0件として扱わない
  • 「貢献」「改善仮説」「実行範囲」の順に絞り、選ばなかった記事の理由も残す
  • 変更内容を記録し、同じ条件で見直す

何本直したかを目標にする必要はありません。ご自分の会社の方針と使える時間に合わせて、運用してみてください。

まずは候補記事を比較表に置き、今月直す記事、まず調べる記事、見送る記事を決めて、それぞれの理由と次に見直す条件を一行ずつ残すところから始めていただけたらと思います。

参考資料・出典一覧

いずれも2026年10月7日に内容を確認しています。

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この記事を書いた人

企業のオウンドメディアで、企画・構成・執筆・編集から、SEO改善、アクセス分析まで担当しています。HR・キャリア・介護領域を中心に、外部ライターの進行・品質管理にも携わっています。

「編集実務室」では、日々の運用で試したことや考えたことをもとに、記事制作、SEO・AI検索への対応、生成AIの活用について発信しています。ひとりでメディアを運営する方にも役立つよう、実務で使える考え方や進め方をまとめています。

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